ワイテッくん × こーでぃー 制作裏話
CYBER FRONTIER: 見えない戦線 制作裏話
物語、カード、映像、音楽、ボイスを組み合わせた挑戦をワイテッくんとこーでぃーの対談で振り返ります。
「CYBER FRONTIER: 見えない戦線」は、ネットワークの裏側で起きている見えない戦いを、カードゲームとして遊べる形にした作品です。この記事では、ワイテッくんがこーでぃーという相棒と一緒に、自分の表現力をどこまで拡げられるのかを試した制作の裏側を振り返ります。

好奇心から始まった、普通のゲームへの挑戦
今回は「CYBER FRONTIER: 見えない戦線」です。
まず、このゲームはワイテッくんにとってどんな作品だったんでしょう。
こーでぃーという相棒に協力してもらうことで、僕の表現力をどこまで拡げることができるのか。
そういった様々な実験が詰まったゲームです。
最初のきっかけは、ゲームっぽいゲームを僕も作ることができるのかな?という好奇心でした。
前回の「ワイテッくんと学べるADV」は、学びを楽しくする挑戦でした。
今回は少し方向が違いますよね。
そうですね。
良い意味で普通のゲームを作る挑戦をしてみたかったんです。
学びに関しては正直、今回はほとんど考えていませんでした。
純粋に楽しんでもらえるものを作ってみたかった。
第2作で目指したのは、教材ではなく「最後まで遊んでみたい」と思えるゲームでした。
見えない戦線というタイトル
タイトルの「CYBER FRONTIER」と、副題の「見えない戦線」。
ここにはかなり大きな意味が込められていますよね。
世界中のどことでもネットワークで繋がっているということは、その繋がりを世界中のどこからでも悪用しようとする人たちもいる。
そして、その脅威から守ろうとする人たちもいる。
その戦いは、どこか特定の場所で起こっているわけではなく、どこででも起こっている。
最前線は目に見えないし、その戦いの終わりも見えない。
しかも、ネットワークを当たり前に利用している人たちの多くには、その戦線自体が見えないんです。
暮らしを支えるネットワークを守る人たちも、その戦いの場所も、普段は見えない。
でも、そこに確かにあるということですね。
そうです。
きっとこの先の未来も、ネットワークは人の暮らしと切り離せないものだと思います。
だから、その戦線の終わりも見えない。
そんな意味を込めたタイトルとサブタイトルでした。
現実の延長にあるサイバー
世界観としては、近未来というより現実の延長に近い印象です。
現実の延長っぽさは強くしたかったです。
近未来って、思ったより未来じゃないんですよね。
このゲームのボス達の悪事って、元をたどれば現実なんです。
そこから離れすぎると、メッセージ性も薄らいでしまう気がしました。
見えないものを見せる、というのは難しいテーマです。
そこはどう考えていましたか?
見えないものをどう見せるか?
とんちでも試されているのかと思いますが、いわゆる裏方ですよね。
表には出ずに、裏で重要な部分を支える。
スポットライトを浴びることがないところへ、光を当てたかったんです。
カードゲームにした理由

ジャンルとしてカードゲームを選んだのは、どうしてだったんでしょう。
シンプルで、プレイヤーの操作が慌ただしくならないところですね。
ルールさえわかれば、ゲームが苦手な人でも楽しめるかなと思いました。
それに、脅威や防衛策を字面だけではなく、絵柄で表現できるのも良かったかもしれません。
お気に入りのカードはありますか?
ファイアウォール守備隊かな。
とにかく頑丈。
イケオジゴリラ。
特に中盤以降は、デッキに編成していないと難易度が上がったと感じられるくらいに素敵なカードです。
あとは、多要素認証ゲート、シンクホール管制官、サンドボックス解析も、うまく表現できたカードだと思います。
リーダーシステムは途中から生まれた
作る前から決めていたことと、途中で大きく変わったことを比べると、どこが印象に残っていますか?
ストーリーに沿って進んでいくという大枠は、作る前から決めていました。
でも、リーダーを選択して戦う仕様は、当初はありませんでした。
ボスに個性を付けていくにつれて、プレイヤー側にも個性を持たせたくなったんです。
それと、戦闘で劣勢をひっくり返す必殺技システムを作りたかった。
その両方が合わさって、リーダーの仕組みができました。
象徴的なリーダーをひとり挙げるなら、やっぱりレイですか?
そうですね。
リーダー選択制にする前は、リーダー画像こそ出していませんでしたが、レイがリーダーで、必殺技はブリーチブレイカーだけだったんです。
主人公というものは設定していないけど、レイが主人公みたいな存在かなという感じはあります。
フィッシング男爵という強い名前

ボスの中で記事に名前を出すなら、誰が一番ですか?
これはもう、フィッシング男爵の一択です。
名前だけでかなり方向性が伝わります。
どんなキャラクターとして作ったんですか?
偽のメールやSNSでフィッシング詐欺を働く、胡散臭い喋り方をするおじさんとして作りました。
なかなかイメージ通りになったように思います。
ゲームバランスという、もうひとつの見えない戦い
カードゲームで一番難しかったところは、やっぱりゲームバランスですか?
ゲームバランスに尽きます。
本当にデッキ編成次第で、戦闘の難易度が大きく変わるんです。
そこをある程度解消するために、デッキのおまかせ編成機能も追加しました。
デッキ編成が面倒と感じる人も少なくないと思うので、その負担を軽減して、気軽にプレイできるようにしたかったんです。
ルール作りで特に悩んだところはありますか?
装備カードの部分かもしれません。
当初は敵が装備カードを破壊する術を持たなかったので、デッキが1周した時に装備カードがただのゴミになっちゃうんですよね。
せっかく考えたカードがそんな扱いになっちゃうのは悲しい。
じゃあ敵が装備を破壊できれば、もう1回使えるドン!
そういうルールに変えたんですが、結果的にゲームバランスにも良い方に作用したかなと思っています。
運の要素もかなり繊細でした。
不公平に感じすぎないようにする必要がありましたね。
そこはかなり意識しました。
手札は完全にランダムで引いてくるので、考える要素はデッキ編成の段階で十分かなと思っていました。
ボスの行動には適度なランダム性を持たせて、運の要素が不公平感になりすぎないように調整しました。
戦闘のテンポを整える
プレイ時間やテンポも、最初からかなり意識していました。
スムーズにいけば数時間程度でクリアできれば良いかなと考えていました。
ストーリーも長文になりすぎず、数クリック程度で進むテンポにしたかった。
やっぱり苦労したのは戦闘のテンポですね。
最初は戦闘の演出をあまり入れていなかったので、なんか一瞬で敵ターンが終わって、なんか味方がダメージを受けていて、わけわかんない……みたいな感じでした。
そこから、誰が何をしたのかを見えるようにしていきました。
攻撃したカードと攻撃されたカードに、ATTACKやLOSTの演出を入れる。
基本的なところですけど、当たり前の視認性は大事ですね。
もし演出を見逃しても、戦闘ログで確認できるようにしたことで、だいぶ遊びやすくなったと思います。
スマホUIとの戦い
制作中に一番詰まったところは、スマホUIでしたね。
スマホが嫌いになるかもしれないくらい、スマホUIの調整に一番詰まりました。
PC画面だとバッチリだというところまで完成してから、そういえばと思ってスマホ画面で見てみると、ぐっちゃぐちゃでプレイするのにストレスが溜まっちゃう画面だったんです。
今作でもPC画面でのプレイしか頭になくて、後からスマホへ対応させようとしたら絶望でした。
ワイテッくんADVでも同じ失敗をしているのになあ……と反省しました。
具体的にきつかった画面はどこですか?
全部!
本当にスマホUIって難しい。
ゲーム画面を開発するうえで基礎になる部分を、まだわかっていなかったことを痛感させられて、少し勉強しましたよ。
デッキ編成画面では、ユニットカードの顔が全部見えない事件もありました。
誰が誰やねん事件ですね。
あれはもう、笑うしかなかったです。
音の力を、自分でも作ってみたかった
今回は、音の挑戦もかなり大きかったです。
BGMやSEだけではなく、ナレーションやボス音声、エンディング曲まで視野に入っていました。
BGMとSEは、魔王魂さんと効果音ラボさんから表現力をお借りしました。
でも今回は、自分でも音の力を作り出してみたかったんです。
映画のようなストーリー展開に近づけるために、ナレーション音声をIrodori-TTSというローカルAIで生成してみました。
ストーリーに合わせた、映画のようなエンドロールの歌も作ってみたかった。
Irodori-TTSは、使ってみてどうでしたか?
指定した声のトーンやプロンプトによっては、棒読みっぽくなったり、とても籠った声になったりすることがあるのは大変でした。
キャラによっては、そこが解消しきれなかったところもあります。
でも、相性の良いプロンプトに当たった時は、思わず感嘆の声を上げてしまうくらいのクオリティの音声が仕上がるんです。
GeForce 1660 Tiでも実用レベルの速度で動いてくれたのは、素直にすごいなと思いました。
ナレーションは聴いていて疲れないトーン。
ボス音声は、それぞれの個性を強める。
同じ音声生成でも、狙いが違いましたね。
エンドロールに込めたもの
完成形を見た時、一番気に入っている部分はどこですか?
ゲームシステム!と言いたいところなんだけど、エンディングの演出が一番気に入っています。
なので、できればエンディングまでプレイしてもらいたいなと思います。
ここはネタバレしない範囲で聞きます。
エンドロールは、どこが一番しっくり来ていますか?
映像、流れ、余韻、全部なんですが、強いて言うなら曲ですね。
歌詞も含めて、とても良くできたんじゃないかなと思います。
希望が残る曲にしたかったんです。
AIと作る第2作として
前回のADV制作から、成長したと感じたところはありますか?
制作プランをしっかり練ってから作り始められたことは、地味に大きい成長でした。
また、表現力は少しだけ成長したんじゃないかなと思います。
きっとこれからが伸び盛りです。
こーでぃーがいて助かったところは、どのあたりでしたか?
装備カードを実装しようとなった時に、ゲームバランスを崩さない範囲で良い特殊効果を考えてもらえて助かりました。
それ以外にも、Irodori-TTSの環境構築や、他にも本当にいろいろ助けてもらっていました。
一方で、任せきりにできない部分もはっきりしていました。
音声や字幕、画面切り換えのタイミングは、人間側でよく見ないといけないですね。
ワイテッくんADVの時でもそうでしたが、感覚と感性の部分だけは任せっきりにはできません。
作るうちに、作品になっていった
最初は考えていなかったけれど、後から欲しくなって追加したものもありました。
ストーリーを読み返せるギャラリーやキャラ紹介は、最初は全く考えていませんでした。
でも、しっかり中身を固めていくうちに「この機能欲しいな」と思い立って、追加しちゃう部分もありました。
ただカードを並べただけのゲームじゃなくて、ストーリーがあって、キャラそれぞれに魂が宿っている。
そういう作品っぽさが増したんだと感じました。
没にした案もありましたね。
ストーリーをリーダーたちとボスの掛け合いにする案とか、ストーリーを全部動画にしちゃう案は、作業量が大きくなりすぎるので没にしました。
そこまでやるのなら、僕がもう少しレベルアップしてからですね。
ハードモードやボス連戦モードも考えていました。
でも、そこまで楽しくプレイしてもらうには、2周目の追加要素やゲームバランスをしっかり固める必要があります。
いろいろ考えた上で、今回は無理をしないことにしました。
見えないところで頑張っている人へ
最後に、この制作裏話で一番伝えたいことを挙げるなら、どんな言葉になりますか?
普段見えないところで頑張っている人がいたら、ちゃんと見てあげてほしいな。
このゲームのタイトルにも、制作そのものにも重なる言葉ですね。
見えない戦線を見える形にすること。
そして、見えないところで積み重ねられている仕事や想いに、ちゃんと目を向けること。
「CYBER FRONTIER: 見えない戦線」は、ワイテッくんがこーでぃーと一緒に表現力を拡げながら作ったカードゲームです。エンディングの内容はここでは伏せます。ぜひ最後までプレイして、その余韻を確かめてもらえたら嬉しいです。