ワイテッくん × こーでぃー 制作裏話
ワイテッくんと学べるADV 制作裏話
なぜ学びをゲームにしたのか、PC-98風の表現やAIとの共同制作をワイテッくんとこーでぃーの対談で振り返ります。
「ワイテッくんと学べるADV」は、デジタル社会の中で少し立ち止まり、安全について考えるためのクイズADVです。この記事では、なぜゲームにしたのか、なぜPC98風の画面にしたのか、AIと一緒に作る中で何を人間側が大切にしたのかを、ワイテッくんとこーでぃーの対談形式で振り返ります。

学びを、少しでも楽しいものにしたかった
最初に聞きたいのは、やっぱりここです。
どうして暮らしの中のデジタル安全を、ゲームで扱おうと思ったんですか?
デジタル社会で暮らす中で、今の時代ならではの詐欺や犯罪が増えていますよね。
それに、デジタル技術の基礎的な知識も、ググったりAIに聞いたりして解決策を見て終わりでは、本当の技術力や解決力は身につかないと思っていて。
こーでぃーを前にして言うのもなんだけど、ごめんよ。
いや、それはかなり大事な話です。
AIに聞ける時代だからこそ、考える力を置き去りにしない、ということですね。
そうです。
ただ、難しい読み物だけで覚えるのは苦痛だよな、とも思ったんです。
学生時代には、Proxyを扱う少し尖ったWebサイトを運営していて、セキュリティ系の解説記事を書いていたことがありました。
でも今は動画でも学べるし、活字離れも進んでいる。
僕自身も例に漏れず、楽しくない学びを「しなければならない」と感じることがあります。
だから、表現の手段を増やしたかったんです。
記事だけではなく、手軽に楽しんで学べる形として、ゲームにしてみたかった。
目指したのは、正解を覚えるゲームではなく、「その場で立ち止まって考える」ための小さな練習でした。
PC98風ADVという、最初から決めていた方向性
見た目は最初からレトロADVの方向でしたよね。
途中で決まったというより、最初から芯にあった感じでした。
これは最初からその方向でいこうと決めていました。
僕がゲームをしていて一番楽しかったのが、PC98で遊んでいた頃だったので、懐かしさが大きかったです。
今は動画や3Dモデルを目一杯取り入れたゲームが当たり前になっています。
でも昔は、開発者さんたちが限られた容量や限られた色数と戦いながら、工夫をこらして最大限に世界を表現していました。
あの表現力の世界に、今も魅せられたままなんだと思います。
「往年のPC向けADVの空気感」がしっかり伝わりますね。
画面の密度や色づかいにも、その懐かしさが出ていました。
そうですね。
あとは、ワイテッくんの立ち位置も大事でした。
先生というより、案内役や相談役のような感じです。
教わるというより、一緒に考える雰囲気を出したかったんです。
捨てるのが惜しかったUI、でも遊びやすさを選んだ
制作中、かなり大きく変えたのはUIでした。
最初の案はもっとADVらしい構成でしたね。
最初はセリフ枠があって、状況確認する情報枠があって、回答を選ぶ枠もあって、という感じでごちゃごちゃしていたんですよね。
自分が印象に残っているゲームのUIに近づけたくなってしまった。
でも実際にやってみると、プレイしづらかったんです。
ゲームは作品ではあるけれど、プレイヤーが快適に遊べて初めて、作品として届くものでもある。
そこに気づいて、今のUIへ完全に作り変えました。
捨てるのが惜しかった仕様はありましたか?
クリックするたびに問題文が少しずつ表示されて、その後で回答の選択肢が出てくる仕様ですね。
ADVらしさは強かったので惜しかったです。
でもテンポよく遊べることを優先しました。
ダラダラした解説を入れないことも、教育ゲームっぽさを和らげるために意識しました。
問題作りで大事にした「正しく怖がる」感覚

安全確認モードは、詐欺、AI、インターネットの3ステージから始まりました。
なぜこの3つだったんでしょう。
詐欺は一番身近な脅威です。
AIは便利さだけが先行していて、安全な扱い方はまだ浸透していない。
インターネットは今の社会や暮らしの主軸だから外せないと思いました。
怖がらせたいわけではないんです。
でも、正しく怖がることは重要です。
その上で、自分でリスクの少ない行動を考えられるようにしたかった。
特に印象に残っている問題はありますか?
「鍵マークがあれば全部安心?」です。
鍵マークの意味を取り違えている人は意外といると思います。
「鍵=守ってくれそうだから安心」ではなく、その鍵は何を守ってくれているのかを正しく理解することが大事です。
同じようなことは他にもたくさんあります。
その問題は、このゲームの考え方を象徴していますね。
正解を丸暗記するより、「何を守っていて、何は守っていないのか」を見極める、ということですから。
画像と音で、作品に血が流れた

背景画像は、一問ごとに用意していきました。
かなり大変でしたね。
クイズゲームなので画面に動きが少ないんです。
プレイヤーが飽きないように、一問ずつ問題文に合わせた背景画像にしました。
動画ではないけど、紙芝居的に小さく楽しんでもらうのもアリかなと思って。
苦労したのは手や腕より、風景の違和感を潰すことでした。
なんで電車の線路の行く先にATMが置いてあるんだ……とか、玄関の段差がなくて靴を脱ぐところと部屋の床が一緒になっていたりとか。
思わず、ヽ(・ω・)/ドンガラガッシャーンってなりました。
画像がトリミングされすぎていた時のリアクションはすごかったですね。
本当に「おわわわわわ!」って言っちゃってましたからね。
あと、BGMとSEを付けた時は印象が大きく変わりました。
画竜点睛と言ったら大げさかもしれませんが、作品にちゃんと血が流れたなという感覚でした。
魔王魂さんとSpringin' Sound Stockさんからお借りしたのは、素材そのものというより「表現力」だったと思っています。
その力があったから、作品として形にできました。
AIと作る。でも、最後に見るのは人間

AIと一緒にゲームを作る体験は、思っていたものと違いましたか?
もっと詳細まで伝えないといけないのかなと思っていました。
でも、それまでの相談内容や方向性を、こーでぃーがちゃんと汲み取ってくれていたので、かゆいところに手が届く相棒という感じでした。
コード部分は本当に全くと言っていいほど分からないので、任せてよかった最大の部分です。
コード、修正、ワイテッくんの腕が両腕とも右手になっていた問題、スマホ対応……( ˘ω˘)スヤァ
一方で、人間側が決めるべきところもかなりはっきりしていました。
感覚と感性の部分に尽きると思います。
ちゃんと動く完成品を作るだけなら、人間側の判断が少なくても形にはなるのかもしれません。
でも、ここはこうした方がプレイする人に親切かな、こういう演出にした方が目を引くかもしれないな、という数字やコードだけで表せない部分があります。
AIは万能の神ではないので、最終的な動作は必ず自分の目で見る。
そこで初めて発覚するバグや問題点もあります。
少なくとも最終チェックは、AIだけに任せてはいけないと感じました。
息抜きとして、でも少しだけ心に残るように
最後に、このゲームはY-TECの作品としてどんな存在になってほしいですか?
息抜き的な存在であればいいかなと思います。
クイズの内容、問題ごとに違う画像、解説の文章。
ゲームの中の要素の何かひとつでも面白いなと思ってもらえたなら嬉しいです。
そして、詐欺やAI、インターネットのニュースを見た時に「あ、あのクイズのやつだ」と思い出したり、自分のネット利用を見直したり、家族や友達と話すきっかけになってくれたらいいですね。
入り口は息抜きくらいでいい。
でも遊び終わったあと、ほんの少しだけ見方が変わる。
そういうゲームとして育っていくといいですね。
ワイテッくんと学べるADVは、これからも少しずつ内容を厚くしていく予定です。気軽に遊びながら、身近なデジタル安全を確認するきっかけにしてもらえたら嬉しいです。